ファジーネーブル

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東京の雪

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世界は短時間で姿を変える。先日東京に雪が降ってそれを強く実感した。麻痺する交通網を予期して、雪が振りはじめて間もない午前中に帰宅の許可が出た。私は会社にいた。午後過ぎたあたりから雪は強くなり始めた。帰る?帰らない?お互いが同僚の様子を伺いながら、雪の日の熱に浮かされていた。私は業務の面では問題なく即刻帰ることができたが、それも惜しく、ひとりひとりと減っていくオフィスで比較的遅くまで残っていた。雪の日は祭りだ。台風と同じく。大いなる存在に恐れおののく一体感。それを前にしたら、右の人も左の人も仲間になってしまう第三者の審級。それでも十六時くらいだろうか。同僚とともにオフィスを出た。近くの公園に足を踏み入れた。歩道、車道、古い建物、近代的なビル、車、信号、コンビニ、スターバックス、全てが強く柔らかい雪国の雪に吹かれていた。東京は美しい。本当の夏の日や、本当の桜の日や、本当の紅葉の日や、本当の雪の日になるとそれを強く実感する。そこかしこに雪だるまができている。その後、私は家に帰らずに、乗換駅構内の喫茶店で本を読んだ。帰れない人、帰らない人、高揚している人、別に普通に見える人。要は見方だ。私が非日常の目線で喫茶店内を見渡せば、そこには非日常の人がいる。窓から見上げた雪空は一向に降り止まず、ただ夜になっただけだった。ほとんどの企業が早めの帰宅命令を出したせいで、逆に夕方の電車はひどい混雑になった。

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