Apple Loopsを使ってみる
DAWによる作曲の初手
ギターやピアノ、あるいは脳内で曲が形になっていない状態からDAWによる作曲を行うなら、曲の構成について早い段階から考えておく必要があるかもしれない。
ヴァースは何小節で構成されるのか。
ヴァース内のフレーズは何小節でループするのか。
自ずとリズムパターンが土台になってくる。
リズムパターンを用意する際は、リフの最小単位だけ準備するのか、ヴァース全体の枠を決めるか、ワンコーラス最後までつくってしまうか、と言った決断が行われる。
これらはいわば作曲の初手だ。
決断と言うと大げさに聴こえるが、意外にもこういうところでその後の発想の多くを規定してしまうことを忘れずにいたい。
今回も特にアイデアはない状態だが、なんとなく持っていきたい方向を意識しつつ、Logicのテンプレートでは4小節だったヴァースを12小節に拡張してみた。また、テンポを128から143に上げてみる。バンドのテーマ曲だから、アップテンポでキャッチーなリフが欲しなあとイメージしている。
Logic Apple Loops
さて、次はどうするか。
本当はギターを弾きたいところだが本命はあとにとっておく。録音スキルにも課題があるので、ここで詰まるわけにもいかないという事情もある。
ベースはどうか。
ベースはとりわけ楽曲の印象を決定づける楽器だと思っている。先にベースラインを決めてしまうと、そのベースラインの引力に作曲の自由意志が負けてしまう可能性がある。
ならば、シンセでいこう。
最終的にギターで代替することも念頭に置き、自由に取り外しができてフットワークの軽いシンセサイザーにアプローチしてみる。
というわけで、Apple Loopsから以下の二つのシンセサイザーを貼り付けてみた。
・Euro Slicer Synth 01
・Remix Slicer Synth 02
パンは均等に左右に振った。
なるほどサマになっている。
Apple Loopsすごい。汎用性の高い音源ばかり揃っている上に、キーとテンポは自動で調整されるので、ほとんどの組み合わせがそれらしい響きを奏でる。
しかしながら、このクオリティは私たちアマチュア音楽家にとって諸刃の剣だろう。先述のように、トラックを固めていくと、知らず知らずのうちに曲のイメージが規定されていく。Apple Loopsをつかえばそれっぽい格好良さは維持されるが、オリジナルとして打ち出せる歌そのものやフレーズを、その後の何処かの段階で求められることには変わりない。その際、Apple Loopsで固められた格好良いトラックが、オリジナルフレーズのリズム、ハーモニー、音域、帯域の条件を狭めてくる可能性は大いにある。トラック固めが手軽な分、自由度が狭まるスピードも早い。あなたのオリジナリティは、Appleの優秀な音源に溶け込みつつ、その中で輝かなければならない。
そんなことを考えながら、次の一手を探してみよう。
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